解決事例

交渉等により解決した事例

獣医師による適切な対応により解決した事例

事案の概要

 心臓病等の基礎疾患がある高齢の犬に関する事例です。
 動物病院にて処方した薬剤を自宅で経口投与した直後に、犬の状態が悪化したとのことで、オーナーから連絡が入りました。その後、緊急入院となり、動物病院にて治療を続けていましたが、翌日、エマージェンシーとなり、犬は、病院で亡くなってしまいました。
 エマージェンシーとなった段階で、病院からはすぐにオーナーに連絡をしましたが、残念ながら、オーナーは間に合わず、看取ることはできませんでした。
 その後、オーナーから犬に処方した薬や死亡に至るまでの対応が不適切だったのではないかという身に覚えのないクレームが出て、面談による説明を求められ、対応に困った動物病院よりご相談がありました。

結論

 最終的に、担当獣医師とオーナーとの面談の機会を設けていただき、当該面談にてオーナーからの質問に対して可能な説明をしていただきました。その結果、オーナーは概ね状況を理解され、以後、クレームが続くことはなく、終了となりました。

 動物病院よりご事情を伺ったところ、担当獣医師は高齢の犬に対して可能な対応をしており、不適切な対応は認められませんでした。
 加えて、オーナーの疑問や質問は、動物病院にしてみると「なぜそんな話が出てくるのか?」と思われるような話が多く、うがった見方をすれば、故意に嘘をついているのではと思われるような内容であったり、非常に怒っておられる様子で、動物病院がこのままやり取りをしても解決しないのではないかという不安を感じるのも無理はない状況でした。

 このように、急に亡くなってしまい、看取ることもできなかったというようなケースでは、オーナーの気持ちのけじめがつきにくく、気持ちのやり場もないという状況に陥りがちです。そうなりますと、オーナーの悲しみや寂しさが疑問や怒りとなって獣医師に向けられてしまうことも珍しくありません。このような状態のオーナーの話は支離滅裂だったり、趣旨不明であったりすることも多く、「治療の説明をしても意味がないのでは?」「難しいし話をしても分からないだろう。」と思い、オーナーの疑問には答えず、ただ謝罪をするというような対応をとってしまう獣医師もいます。

 しかし、このようなときでも、一度は、獣医師から可能な限り丁寧な説明を試みることが重要と考えます。亡くなった直後は、オーナーも冷静さを欠いていますので、できれば本件のように少し時間をおいて、面談の機会を設けたりお電話で話をしたりするのが良いと思います。
 多くのオーナーは、怒っているように見えるかもしれませんが、ただ謝罪をしてほしいと思っているわけではなく、「何が起こったのかを知りたい」と思っています。そのため、獣医師から丁寧な説明を受けると、完全に納得とまではいかなくとも、仕方がなかったのかもしれないということでペットが亡くなったという現実を受け入れる方向に向かい始めます。

 中には、何度説明をしても、理解されず、オーナーから繰り返し質問がメールで送られてきたり、電話がかかってくるという事態になってしまうケースもあります。ここまで行きますと、獣医師自身での対応はやめ、弁護士による介入を検討した方がよいです。

 オーナーへの対応は、絶対に獣医師がすべきというものでも、クレームが出たら即弁護士が介入すべきというようなものでもありません。その状況とオーナーの状態に合わせて対応を検討すべきですので、本件のように早期の段階でご相談ください。当事務所ではこれまでの経験から、本件のようにまずは獣医師に対応していただくべき状況か、介入した方が良いかなどアドバイス差し上げるようにしております。