不当な要求に毅然と対応した事例

事案の概要

　患畜を預かった際に、患畜に怪我をさせたとして、治療費の請求を受けた事例です。
　獣医師には心当たりがなく、当初は自らオーナー様の対応をしていましたが、責任がない旨の説明を何度行っても、理解をしてもらえず、繰り返しの請求がなされたことから、やむなく当事務所にご依頼されました。

結果

　弁護士からは、理由とともに、請求に根拠がないことを書面にて主張しました。
　具体的には、そもそも患畜をお返しする際に、オーナー様が指摘する怪我はありませんでした。仮に怪我があれば、お返しの際に、間違いなく気付くはずですが、もちろん、オーナー様との間でそういったやり取りはありませんでした。また、お返しした後も、オーナー様とはやり取りをしていましたが、怪我のことには一切言及はなく、怪我の指摘を受けたのは、かなり後になってからでした。
　そのため、当院の処置で怪我をしたことが立証されていないことを指摘するとともに、上記経緯からも、当院にて怪我をしたとは到底考えられないことを主張しました。
　その結果、オーナー様からの請求は止み、無事、事件は沈静化しました。

　あまり多くはありませんが、このように明らかに根拠のない請求を受けることがあり、繰り返しの請求を受けることで、獣医師の先生が疲弊し、支払ってしまうケースもあります。
　しかし、理由がないにもかかわらず、支払をしてしまいますと、それを足掛かりに、追加の請求を受けたり、別の場面でも、同じようなことを繰り返されかねません。
　オーナー様とのトラブルでは、丁寧な説明を経て、できるだけ理解を得るのが基本ではありますが、明らかに不当な要求に対しては、根拠とともに、毅然と拒否の態度を示すことも大切です。
　もっとも、そういった主張は、なかなか法律家でなければ自信をもってできないことも多いですし、何より獣医師の先生方がご自身で対応することは、診療に影響しかねません。これは他のオーナー様にとっても良くありませんので、お困りの先生は、まずは弁護士にご相談いただければと思います。