コラム

獣医療広告 獣医療法

獣医療広告について⑯~獣医療法施行規則24条の規定内容(10)~

弁護士 小島梓

 前回に引き続き、規則24条1項にて定められている、広告可能な事項をより具体的に見ていきたいと思います。今回は、規則24条1項6号のフィラリア症の予防関係です。

「医薬品であって、動物のために使用されることが目的とされているものによる犬糸状虫症の予防措置を行うこと。」は広告可能とされています。「犬糸状虫症の予防措置」とは、すなわち「フィラリア症の予防を行うこと」を指しています。

 当該医薬品も医薬品医療機器等法で承認されたものであることが大前提となりますので、当該広告についても医薬品医療機器等法の規制が及びます。

 医薬品医療機器等法 により承認された事項(対象動物、効能効果等)については、併せて広告することは可能ですが、医薬品医療機器等法の広告制限の趣旨から、やはり予防薬が特定可能となる販売名等を広告することは認められません(医薬品医療機器等法66条等)。
 以上も踏まえますと、具体的に広告可能、不可能な例は以下のようになります。

<広告可能な例>
■月1回の経口投与でフィラリア症が予防できます。
■当院では注射によるフィラリア症の予防を行っています。
→このように、フィラリア症の予防を行うことと、医薬品医療機器等法により承認された効果効能、予防方法については広告可能です。

<広告不可能な例>

■フィラリア症の予防と同時に犬回虫を駆除します。
→フィラリア症の予防薬には犬回虫等の駆除が効能効果として認められているものは確かにありますが、犬回虫等の駆除を行うことと、「フィラリア症の予防を行うこと」はイコールではなく、「フィラリア症の予防を行うこと」から逸脱するため、広告不可能となります。このように、薬品の添付資料に記載がなされている効果効能であるか否かと広告可能か否かは別の問題となりますので、十分にご注意ください。

■フィラリア症の予防薬投与、1回3,000円
→ 費用を併記しているため、広告不可能となります。(「獣医療広告について⑫~獣医療法施行規則24条の規定内容(6)~」も併せてご覧ください)これまでにも何度か具体例としてお示ししていますが、基本的に、各種サービスの費用の併記は規制にかかってくると考えていただき、十分にご注意ください。

 次回も引き続き、規則24条1項にて定められている、広告可能な事項をより具体的に見ていきたいと思います。