コラム

獣医療広告 獣医療法

獣医療広告について⑮~獣医療法施行規則24条の規定内容(9)~

弁護士 小島梓

 前回に引き続き、規則24条1項にて定められている、広告可能な事項をより具体的に見ていきたいと思います。今回は、規則24条1項5号の予防注射関係です。

 規則24条1項5号により「狂犬病その他の動物の疾病の予防注射を行うこと。」は広告可能とされています。同号における「予防注射を行うこと」とは、医薬品医療機器等法により承認されているワクチンを使用して予防注射を行うことを指しています。そのため、当該広告についても医薬品医療機器等法による規制の趣旨が及びますので、注意が必要です。
 医薬品医療機器等法で承認された事項(対象動物、効能効果等)、接種するべき回数については、合わせて広告することは可能と考えられていますが、逆に医薬品医療機器等法の広告制限の趣旨からワクチンが特定可能となる販売名等を広告することは認められないと考えられています。
 以上も踏まえて、具体的に広告可能、不可能な事例をご紹介します。

<広告可能な例>
■犬猫に狂犬病の予防注射を実施しています。
■犬の混合ワクチン扱っています(ジステンパー、パルボウイルス感染症、○○病を予防することができます)。
→対象動物や、予防注射の効果効能の表示に留まりますので、広告可能です。

<広告不可能な例>
■犬にパルボウイルス感染症が大流行しています。感染すると死に至ります。当院ではパルボウイルスに対するワクチンを常時実施しています。
→上記では、下線部分が問題となり不可となると考えられます。すなわち、パルボウイルス感染症が流行しているか、客観的に判断できず、また飼育者等の不安を煽る誇大広告に該当すると考えられ、広告不可能となります。
■狂犬病予防注射、1回9,000円
→費用を併記しているため、広告不可能となります(「獣医療広告について⑫~獣医療法施行規則24条の規定内容(6)~」も併せてご覧ください)。予防注射についても去勢避妊手術のように、通常定額で実施されているため費用も併記しやすいところだと思いますが不可ですのでご注意ください。
■ハムスターにも○○病のワクチンがあります。
→上記の通り、医薬品医療機器等法により承認を受けたワクチンであることが大前提になりますが、ハムスターを対象とするワクチンは医薬品医療機器等法上承認されていないため、広告不可能となります。

次回も引き続き、規則24条1項にて定められている、広告可能な事項をより具体的に見ていきたいと思います。