コラム

説明義務 獣医療訴訟

獣医療訴訟について⑧説明義務違反について

弁護士 幡野真弥

 さて、今回は説明義務違反についてご説明します。説明義務には3種類あります。
 まずは①療養方法の指導です。これは、食事・運動・服薬等の指導や説明です。
 療養指導において獣医師が説明するべき内容としては、適切な療養方法(食事・運動・服薬等の指導)、オーナーが守るべき注意事項、今後予想される病状の経過と対処法、薬の副作用や、診療中や診療後に発生する可能性のある危険への対処方法等があげられます。

 次に、②顛末報告義務です。顛末報告とは、獣医師が、オーナーに対し診療や治療の結果等について説明・報告することです。

 最後に、③有効な同意を得るための説明義務があります。
 獣医師には、オーナーがいかなる治療を選択するかにつき必要な情報を提供すべき義務があると考えられています。この情報の内容は、オーナーがペットに当該治療方法を受けさせるか否かにつき熟慮し、決断することを援助するに足りるものでなければなりません。
 具体的には、当該疾患の診断(病名、病状)、実施予定の治療方法の内容、その治療に伴う危険性、他に選択可能な治療方法があればその内容と利害得失、予後などです。
 説明義務違反が問題になるケースは、③の説明義務違反の問題であることがほとんどです。

 説明義務違反と評価されないためには、まず、説明の適切な実施が必要です。死亡や重度の障害が残る可能性がある場合、危険性について明確に説明することをためらてしまうこともあるかと思いますが、予後についても適切に説明しておかなければなりません。
 説明を実施した場合は、その説明の内容を記録化しておくことが重要です。カルテに記載しておいたり、あるいは承諾書を取り付けておくと安心です。カルテには、説明した内容について、具体的に記載しておくことが望ましいです。なぜなら、後にトラブルとなった際には、説明の内容についてペットオーナーと獣医師との間で食い違いが生じることも多いためです。
 説明義務違反が問題となった裁判例は依然ご紹介しておりますので、ご興味があればこちらをご確認ください。