コラム

獣医療広告 獣医療法

獣医療広告について⑫~獣医療法施行規則24条の規定内容(6)~

弁護士 小島梓

 今回は、獣医療法施行規則24条2項3号の規定内容について具体的に見ていきたいと思います。同号では、提供される獣医療に要する費用を併記してはならないとして、費用を併記しての広告が禁止されています。

 同号に規定する「提供される獣医療に要する費用」とは、診療等の対価として必要な金銭を指します。

 同号により、費用の併記が禁止されている趣旨は、技能又は療法と併せて費用を広告することは、低価格競争による獣医療の質の低下を招き、社会の混乱を招くおそれが懸念されることにあるとされています。
 禁止されるのは具体的な金額の併記のみならず、「より安価な」、「低価格で」、「料金は相談に応じます。」等の抽象的な表現であっても、通常同様の懸念があることから、その広告は制限されることになります。ただし、「費用については、電話で確認してください 。」などの表現は、直ちに低価格を推測させるものではないことから、費用の広告とはみなされないとされています。
 そしてこの辺りも、全て実質を見て判断されるということになります。

 規則24条1項にて広告可能とされた事項のうち、避妊去勢手術を行うこと(同項4号)、予防注射を行うこと(同項5号)、フィラリア症の予防を行うこと(同項6号)、及び飼育動物の健康診断を行うこと(同項7号)に関しては、費用の併記は禁止されています。

 このケースも具体例を一つご紹介しておきます。

(例)どこよりも安くフィラリア症の予防を行います。
→ このように、具体的な費用は書かれていないものの、「安く」という表記があるため、これも費用の広告に該当し、禁止されています。なお、「どこよりも」は同時に比較広告に該当するもので、いずれも禁止されているものです。

 ここまで、3回にわたって、獣医療法施行規則2項に定められている禁止される広告法方法についてざっと概観してきました。
 次回からは、同条1項により広告が認められている内容に戻り、具体例などをあげながら、規定内容をより具体的に見ていきたいと思います。