コラム

ペットホテル トリミング その他

動物病院、ペットホテルのケージのサイズの基準

弁護士 幡野真弥

 ペットショップなどの動物取扱業者は、動物愛護法21条1項や省令が定める動物の管理の方法等に関する基準を遵守しなければならないこととされています。
 例えば、ケージのサイズが規制されており、具体的な規制の内容は、環境省発行のパンフレットの9ページ目で説明されています。
 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0305a/full.pdf

 ところで、動物病院でも、入院管理やトリミングのために、ペットを預かることがあるかと思います。動物病院でも、ケージのサイズの基準を遵守しなければならないのでしょうか?

 この点について、上記のパンフレットでは「ケージ等の基準は犬猫を飼養する場合に守らなければならないものであるため、基本的には基準を満たすことが必 要だが、傷病動物や一時的な保管等の特別な事情がある場合として客観的に判断できる場合は例外となる。 例外となる考え方として、傷病動物で安静が必要な場合や、猫の出産前後等の特別な管理が必要な場合(例えば、生 まれたばかりの子猫が棚から落下するおそれがある場合等)が、「特別な事情がある場合」に該当し、合理的な範囲で基準に定めたケージ等の規模が適用されない場合があり得る。 また、一時的かどうかについては、保管する期間とそこに置かれた個体に対するケージ等の広さ、個体の状態等に基 づき総合的な判断が必要であるが、例えば、保管業のうち、トリミングのための数時間の預かりやペットホテルでの数日間の預かりは一時的なものと考えられる。」と記載されておりますので、この程度の短期間の預かりであれば、問題はなさそうです。
 ただし「一方、長期旅行のために数週間〜数ヶ月に渡ってペットホテルで預かる ような場合などは一時的な保管とは考えられない。また、同じ数日間であっても、販売業の場合は、販売されるまでの 期間が事前にわからないため、一時的な保管には該当しない。 いずれの場合においても、客観的に特別な事情が判断可能であり、適切な管理下にあるものに限られる。このため、 例えば「広いケージに入れたら病気や感染症になってしまうかもしれない。」といった漠然とした理由を「特別な事情」 とみなすことはできない(感染症等が発生しないように適切な衛生管理を行うことは事業者の義務である)。」との記載もありますので、注意が必要です。