コラム

裁判例 獣医療訴訟

フェレットに対する診療についての裁判例

弁護士 幡野真弥

 動物病院では、犬や猫を診ることが一番多いと思いますが、鳥、ハムスター、ウサギ、爬虫類、両生類などの、犬や猫以外のペットを診ることもあるかと思います。

 裁判となるような事例も多くは犬や猫ですが、中には珍しいペットに対する診療行為が問題となるようなケースもあります。
 例えば、東京地裁平成23年 5月26日判決、東京地裁平成24年 5月30日判決は、フェレットに関する裁判例です。

 これらの裁判例では、多くの点が争点になりましたが、フェレットに抗がん剤治療を実施する義務があった否かが、争点の1つとなりました。
 裁判所は、フェレットに対する抗がん剤を治療については、獣医学的に確立した治療プロトコルがあるわけではなく、抗がん剤治療を実施することが獣医療水準となるとはいえないと判断しました。

 犬や猫以外のペットを対象とする診療については、獣医療水準の確定が難しく、獣医師の裁量が大きく認められている部分があるといえそうです。