コラム

獣医療広告 獣医療法

獣医療広告について③~広告の定義~

弁護士 小島梓

 獣医療に関する広告については規制がなされていることはご説明してきた通りですが、前提として、獣医療法第17条第1項が「広告してはならない。」と言っている「広告」とはどのようなものを指すのでしょうか。

 ガイドラインによれば、ここでいう「広告」とは、
(1)随時に又は継続してある事項を広く知らしめるものであり、
(2)次のアからウまでの全ての要件に該当するとペットオーナー等が認識できるもの
ア 誘引性:飼育者等を誘引する意図があること
イ 特定性:獣医師の氏名又は診療施設の名称が特定可能であること
ウ 認知性:一般人が認知できる状態にあること
とされています。

 その情報の伝達方法・媒体等から見て、通常、広告に該当すると考えられる例としては、テレビCM、ラジオCM、新聞広告、雑誌広告、看板、ポスター、チラシ、ダイレクトメール(ハガキ等)、インターネットの広告サイト(バナー広告も含む。)等が挙げられています。

 上記要件に関して重要なことは実質的に判断されるということです。そのため、例えば、「これは広告ではありません。」などと記載されていても、実質的に要件を満たす場合には広告とみなされますので、形式的に当該記載をしても規制を免れることはできません。

 特定性についても、例えば、診療施設名や獣医師の氏名そのものが記載されていないとしても、当該診療施設の住所が記載されており、その他の記載内容から容易に特定しうるような場合は、特定性の要件は満たされることになります。すなわち、規制を回避しようとして、形式面だけを整えることには意味がありませんので、ご注意ください。

 次回は、逆に伝達方法等からして基本的には広告に当たらないとされている例を具体的に見ていきたいと思います。