コラム

動物愛護法

動物愛護法⑧~獣医師による通報義務(1)~

弁護士 小島梓

 獣医師による通報は従前まで努力義務とされていたのですが,動物愛護法に関する2019年改正により,義務化されました。この点が,動物愛護法上,獣医師にとって最も大きな影響のあるポイントかと思います。
 残念ながら昨今,虐待等を疑われる動物が病院に連れてこられるケースも耳にいたします。

 そこで,今回から,この通報義務についてご説明していきます。

■通報義務の規定内容(動物愛護法41条の2)
 動物愛護法において,獣医師の通報義務に関して以下のように定められています。
 「獣医師は、その業務を行うに当たり、①みだりに殺されたと思われる動物の死体又はみだりに傷つけられ、②若しくは虐待を受けたと思われる動物を発見したときは、③遅滞なく、都道府県知事その他の関係機関に通報しなければならない。」

 以上のように獣医師には①や②の疑いがあると思われる動物を発見した時には,通報義務があることになっています。

 獣医師の先生方において,想定される最も多い場面としては,オーナーが動物病院に診察に連れてきた動物に関してこれらの疑いがある場合ということになろうかと思います。

 当該規定は,ご覧のとおり,少々抽象的な規定になっておりますので,次回以降,当該規定の具体的な内容を,動物愛護法の他の規定も参考にしながら,見ていきたいと思います。