コラム

動物看護師について⑯~「診療の補助」業務に含まれないもの~

弁護士 小島梓

 前回までのコラムで,愛玩動物看護師が行うことが可能となる「診療の補助」業務に含まれることが予定されている具体的な業務内容についてご紹介してきました。
 今回は,逆に,現時点で,「診療の補助」業務に含まれない方向になっている業務について簡単にご紹介します。

(1)他法令との関係除外されるもの
 まずは,他法令との関係,すなわち,他の法律によって規制がかけられているものについては,愛玩動物看護師の業務に含む方向での検討は難しいということになっています。

 この部類で,代表的なものが「調剤」業務です。
 調剤については,皆様もご存知のとおり,薬剤師法に規定があります。
「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。」(薬剤師法19条1項柱書)

 上記の条項のとおり,原則薬剤師のみが調剤業務を許されることになっており,動物看護師は例外にも含まれておりません。

 そのため,愛玩動物看護師について,愛玩動物看護師法施行後も調剤業務は不可ということになります。

 このように,まずは,他法令で規制がかかってしまっている業務について,愛玩動物看護師の「診療の補助」業務に含むという解釈のもと認める方向になる可能性は極めて低い状況ですので,基本的には,このような業務は法施行後も出来ない前提で,病院内の業務分担を考えていただく必要があろうかと思います。

(2)動物の身体や健康への影響が大きいもの
 次に,いわゆる危険性の高い行為,「衛生上の危害を生ずる恐れが少ない」とはいえない行為についても,「診療の補助」業務からは除外されます。

 こちらの代表的なものは輸液以外の注射,放射線の照射行為などです。
 「動物看護師について⑭~診療の補助の具体的中身(2)~」のコラムの中でご紹介した通り,エックス線検査業務については検査準備及び必要な放射線防護措置を講じた上での保定を行うことまでは愛玩動物看護師が行えるようになりますが,その先,放射線照射行為は不可ということになります。
 このように客観的には一連の業務の一部は行いうるが,一部は除外というものについては,スタッフ皆で特に気を付けていただければと思います。

 なお,上記のうち,(2)に分類される行為については,法施行後,一定期間経過後に,愛玩動物看護師の教育内容を充実させるなどの対応により,診療の補助業務に含むことが出来るかどうかを検討するということになっています。

 以上が,現状において,「診療の補助」業務からは除外される可能性が高いものとして挙げられている業務内容になります。
 「診療の補助」業務内容を正確に把握するためには,含まれるもののみならず,このように含まれないものも理解しておく必要がありますので,御確認をお願いいたします。

 次回は,現状のご報告として,最後に診療の補助行為の前提となる「獣医師の指示」方法についての議論の状況などをご紹介します。