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動物病院から逃げ出した犬が人を咬んだ

弁護士 幡野真弥

 予防接種を受けるために飼い主とともに訪れた大型犬が動物病院から逃げ出したというニュースがありました。
 幸い、逃げ出した大型犬も見つかり、怪我人もなかったようです。
 ニュースでは、大型犬が逃げ出した詳しい状況が不明なのですが、例えば、「動物病院に犬を預けて入院させていたところ、散歩している間などに犬が逃げ出し、通行人を噛んで怪我をさせてしまった」というケースでは、犬が入院していた動物病院に、怪我の治療費などの損害賠償責任が発生することになります。
 それは、民法718条に、「動物の占有者や管理者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。」と定められているためです。民法では「動物」という言葉が出てくる条文は2つしかありませんが、そのうちの1つがこの718条です。
 また、東京都では、条例によって、咬傷事故が発生した場合は、飼い主知事に対する届出が必要とされており、狂犬病の疑いについても検査が必要とされています(東京都動物の愛護及び管理に関する条例29条)。他の道府県でも、同種の扱いがなされているかもしれません。