コラム

未収金回収 オーナーとのトラブル

オーナー様とのトラブル⑨~未収金回収(3)~

弁護士 小島梓

 前回「オーナー様とのトラブル⑧~未収金回収(2)~」というコラムにおいて,少額であっても未収金を放置することは,病院に悪影響が出うるということをご説明しました。

 では,未収金に対して,どのように対応すべきか,今回は,まず未収金に対する院内での対応方法をご説明していきます。

(1)院内における管理
 まずは院内において,未収金の担当者を決め,未収金の管理,つまり,誰がいくら滞納しており,本来の支払い期限は何時だったのかということを正確に把握しておくことが必要になります。

 この管理ができていない動物病院が散見されますが,これが催促をする上で前提となるため大変重要です。

 加えて,院内のルールとして,いつ,どのタイミングで,どのような方法で催促をするのかということを決めておき,担当者が適宜のタイミングで催促をかけるということをお願いしたいと思います。

(2)切り替えのタイミング
 上記の通り,院内で,催促のシステムを作って頂き,一度は担当者による催促をして頂ければと思います。

 もっとも,なかなか動物病院からの催促を繰り返しても,任意に支払ってもらえる可能性は低く,時間だけが徒に経過してしまうことが多いです。

 そのため,1,2度催促をしても任意の支払いが実現しない場合には,専門家からの催促に切り替えることをお勧めします。できれば,この専門家に依頼をするタイミングもルール化しておくのが良いと思います。

 そもそも未収金を請求すること自体,精神的に負担かかるものです。
 例えば,経済的に苦しいと申告するオーナーに未収金を請求すること自体あまり気持ちの良いものではないかと思います。また,病院側に過失がないとしても,オーナの望む結果がでなかったために,支払意思を喪失しているケースでは,オーナーと連絡を取ること自体,避けたいという状況ではないでしょうか。

 このようなスタッフの精神的負担を考えましても,だらだらと院内の担当者による催促を続けさせることは得策ではありません。

 次回は,未収金催促を専門家である弁護士に依頼した場合のメリットなどご紹介したいと思います。